PCメールにしろ、携帯メールにしろ、いつも広告メールが来たら読まずに捨てているのですが、昨日、「ソフトバンクが大学を!? 入学金0円!」という広告メールがきて思わず開けてしまいました。
読んでみると、ソフトバンクの子会社が運営する「サイバー大学」の広告で、通学不要で大卒資格が取得できることを大きく謳っていました。
また、昨日、ベネッセのサイトを見ていると「『インターネット大学』が全国化へ 変わる大学像‐斎藤剛史‐」という記事が。今後インターネット大学の設置基準が緩和される可能性があるとのことです。
インターネット大学の門戸が社会により開かれることは、とてもうれしいことです。でも、一方で、最近話題のMOOCs(Massive Open Online Courses)や、その前身とも言えるOCW(Open Course Ware)など、大学には良質なコンテンツを無料で提供する取り組みがあり、また大学以外からもフリーの教材が多く出ています。これら取り組みとインターネット大学は、一体どのように差別化をはかっていくのでしょうか。
まず考えられるインターネット大学ならではの特色は、通学をせずに大卒資格や各種資格・免許状の取得できることです。これは忙しい社会人にとって大きな魅力です。
次に、となると、うーん……。一流の専門家や実務家たちから学べる、提供されるコンテンツの質が保証されている、体系的に学問ができる……。
これらはインターネット大学の魅力になりますが、インターネット大学だけの魅力にはなりません。そして、現在はまだ一部ですが、同じ魅力を持ったコンテンツを大学が無料で配信しており、今後さらに増えていくと予想されます。
あくまで個人的な意見ですが、情報化が進んだ現在、知識を得るためだけの勉強であれば、学費を払わなくても、図書館やフリーの教材、ウェブ上の掲示板などを使って十分できるように思います。
では、なぜ大学に行くのかというと、それは考え方であったり、発想法であったり、ものの見方であったり、自分が専門としたい分野の知識を扱う術・生み出す術を身につけるためではないかと思うのです。
これら術は教科書から学ぶのではなく、教員や仲間、先輩とのコミュニケーションを通じ、自分とは異なる考え方に触れたり、意見をぶつけあったりすることで、体験的に磨かれていくものです。
時には頭に血がのぼって議論なのか口ゲンカなのかわからなくなるときもあるだろうし、時には密な人間関係にわずらわしさを感じるときもあるかもしれません。でも、これら術は血が通い泥くさい場でないとなかなか身につきません。
インターネット大学が“大学”であるなら、インターネット空間にどうにかしてこの泥くさい知的空間をつくりださないといけないのではないかと思います。これがなければ、“大学”ではなく、“教材”なのではないかと。
もちろん、現在あるインターネット大学、サイバー大学とBBT大学には、SNSや掲示板を利用して、学生たちがコミュニケーションを取れる仕組みが用意されています。でも、まだ弱いです。
インターネット大学は、有料だからこそサポート体制が整えられ、利用者(学生)についてもある程度状況が把握できます。その他のオープンエデュケーションよりも密度の濃い知的コミュニケーションの場がつくれる下地があるのです。だから、知的な空間をつくり、その密度を上げていくことで、他との差別化をはかるのが一番いいのではないでしょうか。
MOOCsの誕生によって、オープンエデュケーションは一気に活性化しています。その中でインターネット大学ならではの魅力を明確に打ち出すことができれば、オープンエデュケーションはさらに活性化し、社会をより良い方向へと変えていくように思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿