2014/05/31

大学発の市民祭(立命館)


大学の周年事業に関わる面白い取り組みとして、以前、ブログ記事「周年で何を考え、何を伝えるか」で、京都精華大学による世界的な著名人たちのインタビューサイトを取り上げました。

今回、京都精華大とはまた違うベクトルで、ユニークな周年事業を行う大学を見つけましたのでご紹介します。

■立命館大学びわこ・くさつキャンパス開設20周年企画 BKCサンクスデー

周年とはいえ、こちらは大学創立ではなく、キャンパス開設20周年になります。

周年の大きな目的に、大学がここまで発展してきたことを社会や地域に感謝する、というのがあります。多くの場合、新聞広告などを使って感謝の言葉を伝えたり、一般向けの記念シンポジウムなどを開催したりすることでこの気持ちを表現します。立命館の取り組みも、方向性としてはこれらとまったく同じです。ただ、とにかく規模がでかい。

開催されたプログラムを見てみると、数学博士であり大道芸人としても有名なピーター・フランクル氏の講演会や親子で楽しめる理科教室、スポーツイベント、天文台イベント、さらには料理コンテストなどなど。しかも、これら盛りだくさんのイベントを1日で開催しています。これはもう大学発の“市民祭”といっていいでしょう。

そして、開催されるプログラムを見ていると、楽しげなのはもちろんですが、地元である滋賀県や草津市とコラボしたものも多いんですね。KUSATSU野菜スイーツ&パンづくり レシピコンテスト」なんて、草津市の新たな名物商品開発を目的としたコンテストのようですし、滋賀県や草津市の物産展なんかも開催されるようです。

社会や地域に感謝する。言葉でいうのは簡単です。でも、具体的な行動に移すとなると、対象が広く、またぼやけているため、かなり工夫が必要です。そんななか立命館は、地域と住民、双方にメリットがあり、なおかつ、びわこ・くさつキャンパスの教育内容や研究内容、学生活動を伝えられるイベントをつくりあげました。

おそらく相当な労力・費用が必要だったのではないでしょうか。でも、その甲斐あってというか、このイベントはさらに地域と大学とを近づけるまたとないきっかけになるし、次の10年をはじめるうえでとても良い“スタートダッシュ”になるはずです。

また、18歳人口が減少し、大学間の競争が激化している現在。どの大学であれ、自校の存在感を示す必要が今まで以上に高まっています。そんな中、自校の魅力を伝える相手は、受験生だけでは十分ではありません。立命館の取り組みは、社会向け広報の手法としても斬新かつ大胆で面白く感じました。


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