2016/05/21

京大の特設サイトが、圧倒的に京大らしい(京大)


大学の公式ホームページとは別に、オープンキャンパスや新学部開設などをテーマに特設サイトをつくる大学がよくあります。これらサイトは規模が小さいのとテーマが明確なため、企画が凝っていたり、作り込みがしっかりしていたりと面白いものも多いです。中でも京都大学がつくった特設サイトは、群を抜いて企画が尖っており、かなり異色。これはさすがに他じゃ真似できそうにありません。

以下、リセマムより。

とことん「めんどくさい」…京大が中高生向けモバイルサイト5/13開設 
京都大学は5月11日、中高生を対象としたゲーム型サイト「探検!京都大学」のモバイル版を5月13日に開設すると発表した。コンセプトは、とことん「めんどくさいサイト」。従来の見やすさや使いやすさといった常識を打ち破る、まったく新しいサイトだという。(後略)

百聞は一見に如かずで、まずはこのモバイルサイトを触ってみました。そうしたら、これ、想像以上にめんどくさい。京大のキャンパスや遠隔地施設を舞台にしたすごろくゲームなのですが、何度やってもすぐスタートにもどされるし、途中に出て来るクイズがひたすらマニアック。

印象的だったのは、何気なくクイズに答えたら飛ばされたミニゲーム。内容は、地球の中心までの距離は京大の時計台に換算するといくつ分か、というもの。これを検証するために、1スクロールで時計台1塔分、土が掘れ、ひたすら地球の中心に向かってスクロールしていきます。帰りの電車で掘っていたのですが、結局、家に着くまでの40分ではたどり着けず断念。ここで投げ出さないような人が京大に入るのかもしれませんね…。




とにかく、想像以上に内容がハチャメチャでした。ちなみにパソコンサイトはサイト名が同じながら、内容がまったく異なるというのもかなり斬新です…。でも、内容もさることながら、このサイトで何より興味深く感じたのは、京大らしさ、というのをしっかり思い描いたうえでつくられていること、そして、強烈な京大愛を感じさせることです。

おそらく、このサイトの企画は内部の人が考えたのだと思います。というのも、このサイトで押し出している京大らしさは、言わば“めんどくささ”。ポジティブではないんです。外部業者だったら、大学の良いところにスポットライトを当てるし、もし内部でない人に「貴学って、めんどくさいですよね」と言われたら、提案を聞く側はかなりムッとするでしょう。

でも、内部の人が話し合って「京大ってやっぱめんどくさいよね(笑)」という答えが出た場合、そこには間違いなく愛があると思うんです。実際、サイトで出題される超マニアックなクイズや、語られるうんちくは、一朝一夕でまとめられる内容ではありません。愛に満ちあふれています。この熱量が感じられることも、このサイトの大きな魅力なのです。

で、これは予想でしかないのですが、このサイトをつくる中で、内部の人たちが情報を持ち寄って、これは京大らしい、これはそうでもない、と何度も話し合ったんじゃないでしょうか。そして、その作業の中で、京大らしさや京大愛が濃く培養され、それがサイトに注ぎ込まれていったんじゃないかと思うのです。こういう作業って、とても大切なことですよ。まぁ、想像でしかないんですけど。

外部業者が提案する“らしさ”は、美辞麗句で塗固められ、結局はどこも同じような言葉になってしまいがちです。だからこそ、良いも悪いも含めて内部で話し合い、内部だからこそ言える、本当の“らしさ”を引っ張り出してくる。その言葉には説得力があるし、魅力があります。そして、わいわい言いながら、その言葉を表現する過程で、その“らしさ”はさらに明確になっていくように思います。

こういった制作のやり方は、ひどく非効率的だし、リスクも高いです。ですが、どこかでやった方がいい。広報という意味を超え、大学として必要なことだからです。そしてこれは、周年などの大きな節目に、お偉方が中心となってやるのではなく、今回の特設サイトのような小さな規模で、現場の人たちが中心になってやるのがいいように思います。私自身、外部業者という立場ですが、こういった業務に一緒に関わりながら何かをつくれたら、さぞかし楽しいだろうなぁと思います。

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