2014/12/27

理想の教育環境は団地のなかに(藤田保健衛生大)


今や大学にとって地域貢献は、教育、研究に続く、大事なミッションです。取り組み方は大学によってさまざまですが、なかにはかなりユニークなものだってあります。医療・看護系の大学である藤田保健衛生大学の取り組みは、そんなユニークなものの一つ。教育的な視点から見ても、かなり魅力的です。

以下、毎日新聞より。

高齢化団地:大学生や教員 住み込みで「見守り計画」 
住民の高齢化が進む愛知県豊明市の豊明団地で、近くにある医療・看護系の藤田保健衛生大学の学生や教員らが来年1月から住み込み、日常的な「見守り」を通して高齢者の生活を支える取り組みを始める。学生にとっては地域医療を実地で学ぶ機会になる。団地を管理するUR都市機構によると、全国的に珍しい試みという。(後略)

学生が関わる地域貢献は、ゼミや授業の一環として、また課外活動として取り組むことがほとんどです。そしてこういった取り組みは、週に1回ないし数回程度集まって活動していくというのが多いように思います。

そんななか、藤田保健衛生大の取り組みは「住み込み」での活動になります。これは生活のベースとなる部分と地域貢献がくっつくため、ある意味、24時間365日、地域貢献をしている状態になるわけです。従来の地域貢献活動を“点”だとするなら、これは“線”ないし“面”のような感じ。かなり濃密な活動となり、やりがいがありそうです。

さらにこの取り組みでは教員も一緒に住み込んで活動するらしく、これは教育的にもかなり意味があります。というのもイギリスの名門校であるケンブリッジ大学やオックスフォード大学だと、伝統的に教員と学生とが同じ寮(カレッジ)で暮らし、そこで共有する時間を通して、知識を深め、また人脈形成や人格形成を行っていきます。藤田保健衛生大の取り組みには、これと通じるところがあります。

今回の豊明団地以外にも、住民の高齢化や入居者の減少で頭を悩ます団地は全国にたくさんあり、今後さらに増えていくと予想されています。こういった団地では、たとえ藤田保健衛生大のように「地域医療」に精通していなくても、学生や教員が住むだけで少なからず地域貢献的な意味合いが出てくるように思いますし、どの分野を専攻しているのであれ、学生たちのマンパワーと専門性があれば、工夫次第でいくらでも団地を活性化させる方法は出てくるんじゃないでしょうか。

団地を有効活用することで、地域貢献と理想的な教育環境づくりの両方を実現する。団地、大学、双方にメリットがあるわけで、これは現実的に考えてけっこうアリな気がします。大学関係者のみなさま、大学近くに団地がないか一度地図を広げてみてはいかがでしょうか?


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