2015/11/15

国立大学の正しい稼ぎ方


2015年10月、財務省の財政制度等審議会の分科会で、国立大学に配る運営費交付金を毎年度1%ずつ削減し、代わりに大学の自己収入を1.6%ずつ増やすよう促す改革案が提案されました。この案に限ったことではないのですが、かなり前から国立大の運営交付金は削減傾向にあり、その埋め合わせとして何かしらの方法で収入を増やさないといけない状況が続いています。

今回、そんな国立大の救世主になる……ほどではないけど、国立大の特長をうまく生かしてユニークな稼ぎ方ができるかもしれない、そう期待させてくれる記事を見つけたのでご紹介します。

以下、産経ニュースより。

「出世払い」で国立大施設を広くベンチャーに 政府が規制緩和 
手元資金の乏しいベンチャー企業でも、「ストックオプション(自社株購入権)」などを差し入れれば国立大学の施設を使えるよう、政府が規制緩和を検討していることが28日、分かった。企業が成長して上場すれば、大学は株式売却益などを“出世払い”で手にできる。高度な研究資源を広く開放することで技術革新を後押しし、安倍晋三首相が目指す日本の成長力強化につなげる。(後略)

国立大というと、東大、京大はじめ日本の研究シーンをリードする大学がたくさんあるわけで、施設設備の充実ぶりはかなりのものです。これら施設設備が利用できるとなると、ベンチャー企業のビジネスチャンスも大いに広がるのではないでしょうか。

ちなみに今も「レンタルラボ」などの取り組みで、学内の研究室を貸し出す大学はあります。でも、これらは賃料が必要だったり、貸し出す大学の教員が中心となる研究プロジェクトに参加していなくてはいけなかったりと、ベンチャー企業が借りるにはけっこう大変そうなんです。

で、話しを戻して今回の規制緩和ですが、ベンチャー企業側だけでなく、国立大側にもかなりメリットのある話なように思います。というのも、先に書いたように国立大は収入をこれまで以上にあげなくてはいけないのですが、その方法がなんでもいいとはいきません。国が一定の税金を投入しているのですから、ひたすら利益に走ったり、公共性が感じられないものだと批判がでてくる可能性があるわけです。

その点、今回の取り組みはベンチャー企業育成なので、当然、国益につながります。さらに、施設設備のレンタル費を取り立てるのではなく、企業が成長した後に利益を得るというスタイルが、非常にクリーンな印象があり、国立大のイメージにぴったり。また現実問題、運営費交付金があり比較的経営が安定している国立大だからこそできる取り組みなのかなぁ、という気がします。

国立大が自己収入比率を上げるために授業料を引き上げるのでは!? という記事を最近よく新聞やネットニュースで目にします。しかし、これは決して好ましい稼ぎ方ではないと、私は思うんですね。国立大の正しい稼ぎ方は、国と国民のためになることで利益を得るやり方です。なかなか難しい稼ぎ方ではありますが、今回の取り組みが実現すれば、この正しい稼ぎ方の好例になるように思うので、ぜひ頑張って欲しいものです。ガンバレ〜!

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