2016/04/17

ねらいも作り方も一括りにできない大学×出版社のコラボ雑誌


近年、大学と雑誌とのコラボが盛んです。昨年、話題になった近畿大学×「Tokyo graffiti」をはじめ、「大学版アエラ」や「るるぶ」、「東洋経済」、「東京人」、私も関わった京都造形芸術大学の「エルマガMOOK」など。さらに最近だと京都女子大学と「non-no」のコラボもニュースになっていました。

ここまで増えていくと、大学広報の変わり種というより、一つの手法として確立しつつあるような気がます。では決して低額ではない雑誌とのコラボですが、どんな意図で、何を気をつけてつくるべきなのでしょうか。今回はそんなことについて書いてみました。

大学と雑誌とのコラボは、一つの広告手法として捉えられがちですが、実は二つのタイプにわかれるように思っています。もちろん、大学が雑誌とコラボすることで、雑誌の知名度に便乗できるとか、それによって話題性が生まれるというのは、すべての雑誌コラボに言えることです。また、雑誌の世界観や購読者層が、大学の伝えたい情報と合致していると、より効果的に伝えられるというのも同じ。でも、東京人や東洋経済などの卒業生や社会人をねらったコラボと、るるぶやnon-noなどの受験生をねらったコラボでは、これら以外の部分では大きく異なります。

まず、卒業生・社会人に向けた雑誌コラボは、振り向いてもらうこと、気づいてもらうことが一番のポイントです。というのも、受験生と違ってこれらの層は、大学の情報を能動的に取り入れようとはしていません。そういった人に、普段読んでいる雑誌と同じ冠で大学の情報を発信することで目につくようになる。このとき大事なのは、雑誌の世界観で、卒業生・社会人に有益な情報を伝えること。これができていないと、大学の広告が“擬態”しているだけで、返ってマイナスのイメージを生む可能性だってあります。そういう意味では、中身がとても大事なのです。

次に、受験生に向けた雑誌コラボですが、こっちで大事になるのは、いかにスゴい!!と思わせるか。基本、受験生向けの場合、若者に人気のある雑誌とコラボをします(non-noなんてまさにそうですよね)。で、“あの”雑誌と大学がコラボしている!という強烈なインパクトによって、大学に興味を持ってもらうことがポイントです。

そういう意味では、中身よりもどことコラボをするかの方がはるかに重要なわけです。さらに細かく言うなら、大学は受験生に向けてさまざまなツールで情報発信しているうえ、受験生も能動的に情報を収集しています。わざわざこの貴重なツールで情報を伝えなくても伝えるチャンスはいくらでもあるし、その大学に興味があるなら受験生は自分で調べることができるだから、学生が編集に関わった事実であるとか、雑誌によく登場する有名モデルが出てくるとか、雑誌と大学がコラボしている事実をバンバン押し出すことが大事。これはこのツールでしかできないことだし、これによってインパクトが生まれ、大学への興味が醸成されます。

独断と偏見がかなり入っていますが、このように考えていくと雑誌とのコラボの意図・内容は、ターゲットごとにかなり異なります。出版不況の昨今、大学とのコラボに興味を持つ出版社も多いでしょうし、コラボ雑誌はさらに増えていくように思います。とはいえお安いものではないので、実際につくるときは少し考え方を整理してから取り組むのがいいのかもしれませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿