2018/02/03

社会人向け講座に、おもしろ精神を(日本薬科大)


大学の学びというと、アカデミックとか、仕事に役立つとか、そういうイメージが先行しがちです。しかし、なかにはエンタメ要素があり、趣味として楽しめるものもあります。とくに社会人向けのプログラムには、多いのではないでしょうか。今回、見つけた日本薬科大学のプログラムもまさにそんな一つだと思います。

以下、毎日新聞より。

社会人向けプログラム「漢方アロマコース」第3期生の1日スポット受講者募集 
日本薬科大学は、社会人向けプログラム「漢方アロマコース」第3期生の1日スポット受講者を募集している。同コースでは、漢方、アロマテラピー、しんきゅう、サプリメント、ヨガなど幅広い補完医療の現状を体系的に学べる。メイクセラピー、アーユルヴェーダ、薬膳などの美容や健康に役立つ知識も習得できる。(後略)

漢方とアロマをテーマにした社会人向けプログラムというのは、なんとも女性ウケしそうですね。しかも、薬科大学が主催しているとなると、内容に信憑性が出て、魅力も増すのではないでしょうか。

今回のように、学問を真正面から捉えて提供するのではなく、おとなの趣味として楽しめるように、切り口を変えてプログラム化するというのは、今後ますます増えていくように思います。それに、アカデミック+エンターテインメントというのは、大学だからこそできること。この切り口が、一般に広く受け入れられると、社会がもつ大学のイメージも変わるかもしれません。

では現段階で、日本薬科大学のようなプログラムを展開している大学があるのかというと、けっこうあるんですね。面白そうなものをいくつかピックアップしてみましょう。


忍者・忍術学講座(三重大学)
三重県に忍者発祥の地である伊賀があることもあり、三重大学では忍者の研究に取り組んでいます。講座は毎月1回ほど開催されており、現在開催中の2017年度後期のテーマは「忍者の道具」。かなり浪漫を感じますね。予約不要、入場無料

東京農業大学グリーンアカデミー
1975年から続く、伝統あるプログラム。シニア世代を対象にしており、園芸や造園について実践的に学べるうえに、教養系の科目も履修できます。東京農業大学は、このプログラム以外にも、いかにも農業系大学らしい公開講座が充実しているので、個人的におすすめです!

駒澤大学日曜講座
駒澤大学は「仏教」と「禅」の精神を建学の精神とした大学で、「禅」の研究に力を入れています。そんな駒澤大学のキャンパス内には坐禅堂があり、ワンコインで本格的な坐禅体験ができます。この講座については、ほとんど0円大学でレポートしているので、こちらもご覧ください。記事

民族楽器講座(東京音楽大学)
東京音大付属の民族音楽研究所が主催している講座です。二胡や馬頭琴といった、かろうじて名前だけならわかりそうな楽器から、トンコリ、コムズといったまったくお手上げな楽器まで、かなりマニアックな楽器について学べます。こちらもほとんど0円大学でレポートしました。記事


本当はまだまだありますが、とりあえずはここまで。これらプログラムを書き並べて思うのは、ユニークでエンタメ性があるだけでなく、各大学の特色が強く出ていること。研究活動の裏付けがあり、この大学だからこのプログラムという説得力があります。やはり強い分野だからこそ、おもしろさを演出するまで内容を昇華できるのでしょう。

エンタメ要素の強いプログラムは、これまで大学に興味がなかった層にもリーチするかもしれません。また、インパクトがあり、なおかつ研究内容と関連するので、大学のブランディングにも役立つのではないでしょうか。

今は大学が社会に積極的に門戸を開く時代です。社会人向けのプログラムも、ますます工夫をこらしたものが出てくるでしょう。そのときの工夫の仕方として、エンタメ性は大きな鍵になるべきだと思います。大学です、学問です。難しいからこそおもしろく、の精神です。

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