2018/03/17

“村ぐるみ”インターンは、地方を変えるキラーコンテンツ!?


東京への一極集中をどうにかして是正したい。これは以前より国が頭を抱えている大きな課題で、この課題の解決に少なからず大学は期待をよせられています。それが顕著に見えたのが、東京23区内にある大学の定員増を10年間凍結させるという法案の採択です。これは大きな物議を呼びました。わたしはあまりいい法案とは思っておらず、以前、それについて本ブログでも記事を書きました。

で、話をもどして。大学が一極集中を是正するためにできることは、首都圏への進学者を減らすこと、そしてもうひとつはUターン就職やIターン就職を増やすことです。地方への就職者を増やすには、首都圏以外で働くのも悪くないよ、と学生たちによくよく知ってもらうことが大事です。これを伝えるのに効果的なインターンシップを、宮崎県の諸塚村が実施していたのでご紹介します。インターンのそもそもの意味を問い直す意欲的な取り組み!…かもと、わたしは思いました。

以下、朝日新聞デジタルより。


農林業システム維持へ村ぐるみのインターン 諸塚 
自然と共生する農林業システムで「世界農業遺産」に認定された高千穂郷・椎葉山地域の諸塚村。少子高齢化により減少する農林業などの担い手を集めようと、同村は村をあげてのインターンシップに取り組んでいる。(後略)

このインターンシップは古民家に住みながら、2週間、諸塚村で生活するというもの。その間、木材加工センターや食品加工グループ、農家などなど、さまざまな仕事に学生たちは携わります。この村ぐるみで受け入れているというのが、かなり斬新です。

実はわたしも学生時代にインターンシップに参加した経験があります。ふりかえって思うのですが、当時は興味のある職種+有名企業かどうかで、インターン先を探していました。もちろん、違う観点で探す人もたくさんいるでしょう。でも、仕事への知識がとぼしい就活前の学生には、わたしのようにミーハーな視点でインターン先を探す人が多いように思います。こういったミーハーな学生は、地方のいち企業がインターンの受け入れを表明したとしても、なかなか食いつかないというか、そもそも目に写らないように思います。

しかし、今回のように、いち企業ではなく、村ぐるみでインターン生を受け入れるとなると、それなりにインパクトが出てくるため、目に留まる可能性が格段に高まるはずです。それに“村ぐるみ”という言葉にはVIP感があるし、経験できる内容もいち企業より幅広いことが直感的にわかる。さらに知らない地方に滞在することへの不安も、村ぐるみと言われると、かなりやわらぐのではないでしょうか。

このインターンがおもしろいところは、まだあります。普通、インターンは働くことを通して、受け入れ先の企業や業界、働くとは何かについて学ぶプログラムです。しかし、諸塚村のインターンは、特定の仕事を知るのではなく、村での生活そのものを知ることに主眼を置いています。働き方、ではなく、生き方を知るプログラムなのです。

地方で働くことのよさは、仕事単体で語ることはできません。環境や余暇、人と人との距離感など、ここでならどういう生き方ができるのかを感じてもらってはじめて伝わるものです。村ぐるみインターンシップ(勝手に命名)であれば、そこまでを体験することができます。

さらにこの考え方は、地方でのインターンに限らず、これからのインターンを考えるうえでヒントになるように思います。というのも、ひとつの企業に勤め上げることが一般的だった時代は、仕事と生き方は非常に近い存在でした。でも、転職するのがめずらしくなく、人によっては複数のキャリアを同時に歩むようになった今、仕事は生き方のほんの一部でしかありません。ならば、学生のうちから仕事を知るのも大事ですが、生き方を知るのはもっと大事なのではないかと思うのです。

村ぐるみインターンシップは、間違いなく生き方を知るためのインターンシップのひとつです。この考え方でデザインされたインターンシップが今後増えていくと、学生たちのタメになるのではないでしょうか。

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