2014/09/09

【ほとゼロ コラム】大学スポーツ、熱狂の原動力

応援団の叫声と太鼓が響く、早慶戦

大学で楽しめるイベントや取り組みは、基本的に大学の教育・研究に関わることになりますが、中にはこれら教育・研究とはまったく関わらないものの根強い人気があるものがあります。

おそらく、その代表格と言えるのが大学スポーツです。一部には卒業生を中心に熱狂的な人気を発揮する大学スポーツですが、その魅力は一体どこにあるのでしょう。今回、独断と偏見を交えつつまとめてみました。


ファンたちの絆
大学スポーツのファンは多くの場合、出身大学のチームを贔屓にします。これはやはり、自分の後輩たちが活躍することに親近感が湧くからだと考えられます。さらにメジャーなスポーツや大きな大会だったりすると、応援団やチアガールが駆けつけ、その大学の出身者ならよく知っている応援歌や演舞を披露します。これがまた卒業生たちの心をくすぐるわけです。

以前、東京六大学野球の早慶戦を観戦しに行ったことがあり、そのとき、観客席には学生や家族連れ、カップル、高校球児、おじいちゃん、おばあちゃんとかなり幅広い人が来ていました。

驚いたのは、ファンたちの一体感です。私自身、早稲田側で観戦していたのですが、7回の表から裏に代わるときに早稲田の校歌「都の西北」が流れるとともに、何百人もの観客が一斉に立ち上がって肩を組んで歌いはじめました。阪神戦なんかで時おり見る光景です。しかし、大学スポーツでも……という言い方は失礼かもしれませんが、ここまで会場が熱狂に包まれるのかと、学生時代クラブ活動に無縁だった私にとって、かなり意外で衝撃的でした。

ちなみに、私は早稲田出身でも、慶應出身でもないので、どちらに肩入れするわけでもなく、ビールを飲みながら観戦していたのですが、これはこれですごく良かったです。会場はヒートアップしているのに、どこか牧歌的というか、とてものんびりとした気分になれる。それに屋外で飲むビールって、ほんと格別で、とてもステキな休日を過ごせました♪


■4年間の濃密な物語
……ちょっと話がずれました。では、なぜこれほどまでに大学スポーツは卒業生たちを熱狂させるのか。理由の一つにプロスポーツと違って、大学生活という限られた年月のなかでやっていることが挙げられるように思います。

どれだけいい選手であっても基本的に4年で引退してしまうし、4年間という短い月日のなかで選手たちは、新人、中堅、ベテランと立ち位置を猛スピードで変えていきます。さらに毎年、主将が代わり、新主将のもと新しいチームをつくりあげていきます。否応なく新陳代謝が進む環境だからこそ、濃密な物語が生まれるし、それがファンの心を揺さぶっていくのでしょう。

さらに、選手たちはこの短い年月の中で、急速に愛校心を育んでいきます。どの選手も程度の差こそあれ、大学を背負って立つという意識をもって、いつしか試合にのぞむようになります。

面白いのは、クラブを、ではなく、大学を、なんですね。いろいろ取材をしましたが、どこもそうでした。とくに強豪チームの方が、この意識が強いように感じました。

ファンである大学関係者たちは、選手がこの意識を持って試合に出場していることを知っているからこそ、熱心に応援するし、選手もそれに応えようとする。これが強い連帯感が生む一番の理由であり、私を驚かした「都の西北」の大合唱の原動力なのだと思います。

大学スポーツは、観戦するのに料金がかからないものが多く、かかるものも大した額ではありません。それにハマる人はかなりハマる世界なので、ちょっと面白そうかなと思うなら、一度、どのスポーツでもいいので出身大学の試合をのぞきに出かけてみてはいかがでしょうか。もちろん、ビールを買って♪

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