2014/09/23

大学と地域は“×”を学ぶ人材を求めている


大学のパンフレットをつくっていると、よく学生たちによる地域貢献プロジェクトを取材することがあります。

これら地域貢献プロジェクトは、一体どれくらいの大学がやっているのでしょう。文部科学省が調査し、その結果が公表されたようです。
 
以下、リセマムより。

76%の大学が学生の地域貢献活動を実施、国立で高い傾向 
文部科学省は9月22日、平成25年度 開かれた大学づくりに関する調査研究報告書を公表した。学生の地域貢献活動を行っている大学は75.9%にのぼり、活動テーマは、「地域産業活性化」「教育支援(学校)」「健康・福祉」の割合が高いことが明らかになった。(後略)


調査結果によると、およそ76%の大学が学生による地域貢献活動に取り組んでいるようです。4分の3以上がやっているというのは、多いとは思っていたものの、けっこうな割合だと改めて驚きました。

“地域”は以前から、大学にとって重要なキーワードでしたが、2006年に教育基本法の改正により、大学の果たすべき役割が「教育」と「研究」だったところに「地域貢献」が新たに付け加えられてから、重要度がさらに増してきたように思います。

たとえば来年開設予定の学部学科を見てみると、青山学院大学の“地域”社会共生学部、追手門学院大学の”地域”創造学部、高知大学の”地域”協働学部、いわき明星大学教養学部の“地域”教養学科と4つの大学の学部学科に“地域”の文字がついていました。

たしかに大学の地域貢献プロジェクトを取材していると、地域は若者のパワーを欲していることがよくわかります。関わり方は大学や学部、プロジェクトによってさまざまですが、外から見ていると、学生が単にマンパワーとしてではなく、自分たちの学んだことを活かして関わっているとより魅力を感じます。実際、地域×経済学、地域×法律、地域×芸術などなど、地域にはあらゆる学問を受け入れ、実践できるふところの深さがあるように思います。

学問というのが縦軸であるなら、地域というのは横軸。これらが交差することによって、学びはよりエキサイティングに生まれ変わるし、地域にとってもより有益になる。でもこれって、あくまで専門のある学生たち、つまり経済や法律、芸術といった“縦軸”に当たる学部学科に所属している学生たちに言えることです。

では、来年ぞくぞくと開設される(そしてすでにけっこう開設されている)“地域”をテーマにした学部学科の学生たちは、地域貢献に携わるのにふさわしくないのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。

これら学生たちが担うのは、地域×経済学、地域×法律、地域×芸術などの“×”の部分です。大学や社会の専門家たちと地域がもつさまざまな課題、これら二つを“×”するための知識やノウハウを学ぶ、それが“地域”をテーマにした学部学科の使命になるのではないかと思います。

先ほど紹介した記事のリンク先に「学生の地域貢献活動の際の課題は、『大学側の人手・人材が不足している』が突出して高い」とありました。

ゆくゆくは“地域”をテーマにした学部学科の学生たちが大学職員に取って代わり、地域と大学とを“×”していくという、これまで学生があまりできていなかった地域貢献に取り組むようになれば、地域貢献の数も幅もグンッと広がるはずです。大学と地域の関わりを次の局面に導く可能性を、これら学部学科は持っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿