2015/06/14

企業の学内誘致で、ウィン・ウィン・ウィンの関係を(上智大)


マクドナルドやサブウェイなどの外食チェーンにコンビニ、書店など、キャンパス内にある企業の支店というと、学生たちがよく使う飲食業や小売業の印象が強くあります。今回、これらとはまったく違う業態の大企業が、しかも支店ではなく本店(本社)を上智大学のキャンパスにつくるようです。

以下、朝日新聞デジタルより。

あおぞら銀、上智大キャンパス内に本社 175月から 
あおぞら銀行が上智大学に――。同行は1日、本社機能や本店営業窓口を20175月から、上智大キャンパス内に建つ新ビルに移すと発表した。銀行本社が大学と同居するのは珍しい。「建物の安全性や利用者の利便性などを考慮した」としている。(後略)

あおぞら銀行は、キャンパス内に本社を設置した理由に安全性と利便性を挙げていますが、メリットは他にもあるように思います。

一つはリクルーティング。キャンパス内にあると学生たちから親しみを感じてもらえやすいし、説明会だって気軽に開くことができます。また、学生のなかには、口座を開設したり、同銀行をメインバンクに切り替えたりする人が少なからず出てくるように思います。

就職にしろ、口座にしろ、上智大という日本トップランクの私立大学の学生が行うというのが大きいですよね。優秀な人材は、働き手としても顧客としても大切なわけですから。

もちろん大学側にもメリットがあります。単純に学内にあると学生や教職員にとって便利だし、インターンシップや連携授業など、学びに活用できる可能性も大いにあります。それにスーツを着たビジネスパーソンが日常的に学内にいること自体、学生にとって良い刺激になるはずです。あと同銀行のリカレント教育の受け皿になれるかもしれないし、産学協同なんかもすごくやりやすいんじゃないでしょうか。

そして、メリットを享受できるのはこれら二者だけでなく、地域の人たちもです。同銀行のある四谷キャンパスは、四谷駅から徒歩5分という非常に使いやすい場所にあります。さらにこの本店を使うようになると、公開講座や図書館の一般開放など、いろいろある大学の一般向け取り組みを自然と知れるし、活用するようになるはずです。

大学が昔よりずいぶん入りやすくなったとはいえ、一般の人にとっては未だにかなり入りにくい場所です。それに、わざわざ大学に行く理由が普通に生活しているとほとんどありませんよね。でも、今回のように銀行ができると、大学に足を向ける理由になるし、理由があると躊躇していた人でも気軽に入れるようになるはずです。

企業、大学、地域にとってのメリットを思いつくまま書きなぐってみました。企業の、大学の、というかたちでまとめはしましたが、実際は三者(ないし二者)にとってメリットになる事柄が多く、それぞれにとっての恩恵はかなり多いし大きいように思います。

近年、総合大学を中心に、キャンパスの都心回帰が進んでおり、立地条件の良いキャンパスが増えてきています。一方で、今後日本の18歳人口が減少することは決定しているわけで、キャンパスに“空き”が出てくる大学は間違いなくたくさんでてくるはずです。

この“空き”を有益に解消する方法として、学内への企業誘致はかなり現実的かつ魅力的な手だてなように思います。企業、大学、そして地域のウィン、ウィン、ウィンの関係をつくり、サスティナブルに大学を発展させるために、大学、とくにキャンパス移転や新校舎の建設を構想している大学は真剣に考えてみてもいいのかもしれませんね。

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