2015/06/06

大学の大切な役割、“世界だって変えられる”を伝える教育(大東文化大)


昨今の大学では、企業や地方自治体と連携して、チームで課題解決に取り組むプロジェクト型教育をはじめ、すっかり大学に定着したインターンシップなど、実社会を経験することで仕事を知ったり、働くうえで必要な能力を学べたりする機会がこれまでにないほど増えています。

今回、これら教育の一つではあるものの、ちょっと趣の違う興味深い取り組みを大東文化大学で見つけたのでご紹介します。

以下、大学プレスセンターより。

大東文化大学環境創造学部が66日~20日まで八重洲ブックセンターで、新環覚!? 環境フェア「あなたの意識一つで変える未来 環境問題を考えるための30冊」を開催 
大東文化大学環境創造学部(東京都板橋区)は66日(土)~20日(土)まで八重洲ブックセンター本店(東京都中央区)で、新環覚!? 環境フェア「あなたの意識一つで変える未来 環境問題を考えるための30冊」を開催する。これは、同学部で環境問題を学ぶ学生が選んだ環境関連書籍のブックフェア。今年度より新設した、産学連携による実践型講義「企業研究」の一環として実施するもので、プロのイベントプロデューサーであるテリー植田氏の指導のもと、環境理解力、販売力、デザイン力などからなる総合的なプロデュース力を育成する。(後略)

この取り組みは、八重洲ブックセンターと連携してブックフェアを開催する、というものです。一見すると、プロジェクト型教育の一つという印象をもちますし、まぁ、実際そうでなんだと思います。でも、多くのプロジェクト型教育と違うのは、この取り組みは“組織の利益”ではなく、“社会(=人)を変えること”を一番の目的にしていることです。

そのため一般的なプロジェクト型教育に取り組んで満足いく結果が出たとき、 学生は“自分は組織で活躍できそう”という安心を得るはずです。しかし今回の取り組みの場合、“ほんの少しかもしれないけど、自分たちの頑張りで世界が変えられる”、そんな可能性を感じてもらえるのではないかと思うのです。

これって、同じ形態の学びであるのに、まったく違いますよね。スケールが違うし、とてもワクワクします。

大学、とくに私立大学では、働くために必要な意識やスキルを早期から習得させる教育に熱心です。でもこれはある意味、学生の考え方や視野を狭め、可能性を削ぎ落す行為なのかとなという気がしないでもありません。

不要なことだとは思いません。でも、同じアクティブな学びに取り組むにしても、入学すぐは社会常識や仕事という“枠”を覚えさせることよりも、“枠”を取り払うこと。つまり、“あなたは何にでもなれるし、世界だって変えられる”ことを実感してもらうために、こういった学びを活用していくのがいいのではないかと思うのです。

同じような意識は、震災ボランティアや国際ボランティアなどに参加しても育むことができるように思います。でも、そうじゃあないんです。

大学が教育として、明確な意図をもって、こういった取り組みを行う。またメッセージを発信することが必要です。とくに大学の職業訓練校化が叫ばれる昨今、その重要性はさらに増しています。職業訓練校なんて“枠”が最初からあるところで学んで、誰が“世界だって変えられる”なんて志を育めるでしょうか。

学生時代は、人生でまれにみるじっくりと物事を考えられる期間です。この期間に世界と向き合い、具体的なアクションを起こす。その経験は今後の人生観や職業観にとても大きくポジティブな影響を与えるに違いありません。こういった機会を提供するのもまた大学教育が担うべき大切な役割なんじゃないかなと思います。

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