2017/06/11

柔軟に、大胆に、地域とともに、大学の“これから”に立ち向かう(京都大)


2018年問題とか、出生率の低下とか、大学を取り巻く状況は今後これまで経験したことがないほど悪化するのは“約束された未来”です。

もちろん、どの大学もいろんな対策を講じてはいるのですが、それだけではなかなかどうすることもできないのが実際のところのように思います。一大学ではなく、もっと大きな規模での対策が必要なのです。京都大学の取り組みを見て、勝手に想像をふくらませながら、しみじみとそう感じました。

以下、朝日新聞デジタルより。

府内留学生1万人目前 京大が府有地に新寮 
府と京都大は、府有地を大学に貸して留学生のための寮を建設するなどの連携協定を結んだ。府内の留学生は2018年度までに1万人を超える見通しで、受け入れ態勢の整備が課題となっている。(攻略)

京都市は人口のおよそ10分の1が学生という、まさに“学生の街”です。そんな京都であっても、他の地域同様、将来的に学生数が減っていく可能性が非常に高いわけですから、今から京都大と協力して留学生誘致に力を注ぐのは正しい判断なのだと思います。

大量の学生を抱える大学は、京都市でなくても、大学のある地域にとって経済面はもちろん、街の活気や雇用など、さまざまな面で恩恵を与えます。近年、地方では経営悪化に苦しむ私立大学を地域で支えるため、公立化させる動きが出てきているといいます。これも地域にとって大学が必要な存在であることの証拠です。

しかし、公立化して経営面を支えたとしても、学生数が減っていくことに変わりはなく、+αの策がないことには、単なる延命措置で終わってしまいます。必要なのは、長期的に学生を確保する手立てです。

そう考えたとき、今回の京都大と京都府の取り組みのように、市町村を巻き込んでの留学生誘致というのは、けっこうアリなんじゃないかと感じました。実際はいろいろとしがらみがあって難しいのでしょうが、地域と1大学ではなく、地域と地域にあるすべての大学が手を組み、留学生誘致ができると大きな効果があるはずです。

たとえば、その地域の留学生なら誰でも使える巨大な留学生寮をつくるとか、その地域が姉妹都市提携をしている国や地域から留学生を呼び込む大規模プロモーションを行うとか。たくさんの留学生がその地域に進学することは、大学だけでなく、地域にとってもメリットがあることです。複数大学が絡むと大学の動きは鈍化しがちなので、ぜひ地域主導でやってもらいたいものです。

大学を取り巻く環境は、今後これまでにない厳しい状況に突入します。なら、その対策もまた、これまでにないことをやってしまわないことには、なかなか太刀打ちできないように思うのです。柔軟に、そして大胆に、大学と地域が手を取り合うことで、新しい可能性を切り拓いてほしいものです。

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