2017/12/23

イベントは量より質!? とことんやると、大学の姿勢が見えてくる(筑波大)


子ども向けの理科・科学教室であったり、リケジョをテーマにしたイベントであったり、大学には学問の面白さを高校生や子どもたちに伝えるイベントというのが、けっこうな頻度で開催されています。今回、見つけた筑波大学と河合塾のイベントも、そんなカテゴリに属するもののひとつ。でも、これ、他ではなかなかお目にかかれない贅沢なイベントなのです。

以下、リセマムより。
筑波大×河合塾、学問について語る「学問本オーサービジット」高校生募集 
河合塾が運営する高校生応援Webサイト「みらいぶプラス」と筑波大学人文社会系は、高校生と学問について語り合う「学問本オーサービジット」の2017年度参加希望者を募集している。対象は高校生で3~8名程度のグループを募集。費用は筑波大学が負担する。(後略)

まず「学問本オーサービジット」とは何か?ですが、河合塾の「みらいぶプラス」に説明が載っていましたので引用します。
学問本オーサービジットとは、学問の本の著者(オーサー)が、学校の図書館(室)などへ訪問(ビジット)し、読者と自由に語り合うという取り組みです。いわゆる出前授業とは異なり、本を通じて、いつもの勉強だけでは出会えない学問のワクワク感を知ってもらうためのもので、クラス・部活等のメンバーや、気の合う仲間などのグループ単位で参加できます。

冒頭にも書きましたが、ほんと贅沢なイベントですよね。しかもリセマムの記事には「高校生で3~8名程度のグループを募集」とあり、高校生3名+著者という非常に濃厚なイベントが開催される可能性だってあるわけです。

このイベントの面白いところは、大学教員である本の著者と語り合えることもそうですが、それだけではありません。大学(+予備校)発のイベントであるのに、とてもプライベートな感じがするんです。参加者は仲のいい友達数名、場所も自分たちが通っている高校の図書館など。ここまで“ホーム”な環境で、学問とふれあえることは、そうそうないように思います。

高校生です。知らない大人と話すだけでも緊張するのに、それがえらい大学教員ならなおのことです。また学問についても、ほとんどが知らない世界なわけで、理解するのにかなりのパワーがいります。

本の著者と話すということが、面白く、学問のワクワクを知る近道だったとしても、場所が大学の研究室であったり、知らない人たちと一緒であったりしたら、思う存分に楽しめない高校生はきっとたくさんいるはずです。

大人と話す、学問について語り合う。高校生がプレッシャーを感じることは火を見るより明ら。だからこそ、高校生が最ものびのびとできる環境で開催するというのは、とてもやさしいやり方のように感じました。

また、広報的な観点で見た場合、今回の真逆のかたちでイベントを開催したとすると、本の著者が大学で大勢を前に講演する…となるわけで、きわめてありふれた企画になります。たとえ非効率であっても、ターゲットにとことん寄り添ってイベントを開催する方が、広報的にはインパクトがでるのではないかと思うのです。

大学広報にとって、著名人の講演自体にはあまり意味がなく、そのイベントを通じて、大学の考えや姿勢を感じてもらうことにこそ意味があるのだと、わたしは思います。もしそうなのであれば、参加者が減ったとしても、ゲストの人選だけでなく、イベントの形態も含めて、大学の考えや姿勢を感じられるものにした方が、やる価値はあがるのではないでしょうか。わたし個人としても、エッジの効いたイベントが増えると、取材のしがいがあるし、利用者としてテンションがあがるので、ぜひご一考いただけるととてもうれしいのです。

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