2018/01/27

人とAIでつくる、これからの就活サポート(帝京大)


前回の近大のイベントの記事に続き、今回も就職活動をテーマした内容を取り上げます。最近、何かと話題にのぼるAI(人工知能)ですが、帝京大学ではこれを就活サポートに導入するようです。時代とともに、就活サポートも大きく変わっていくんですね。

以下、大学プレスセンターより。


『大学初!就職指導でAI(人工知能)と教職員がタッグを組む』 -- 帝京大学 
帝京大学(本部:東京都板橋区 学長:冲永佳史)ではこのたび、キャリア教育および就職活動支援に、株式会社タレントアンドアセスメント(本社:東京都港区 代表取締役:山崎俊明)の提供するAI面接サービス「SHaiN」を試験的に導入します。「SHaiN」は、企業が求める人物像や採用基準に沿って、AI(人工知能)が人間の代わりに採用面接を行うサービスで、大学としては初の試みとなります。(後略)

大学の広報物(とくに文系大学のもの)をつくっていると、AI(人工知能)というキーワードは、人間の多くの仕事が取って代わられるから、AIではできない仕事をするためのスキルや能力が身につけましょう…的なくだりでよく出てくる印象があります。事実、メガバンクでAIが導入され、人員を削減するというニュースもリアルに出てきているわけで、かなり現実味を帯びた話です。

こういう視点で見てみると、AIは人間の仕事を奪うワルモノみたいな見え方がしないでもないですが、今回はその真逆で学生が仕事に就く手助けをしてくれるわけです。まさに道具は使いようです。

学生が企業を選ぶときの視点としてよくあるのは、やりたいことができるかどうかと、自分に向いているかどうか、この二点のように思います。やりたいことというのは、自分のエモーショナルなところと深く関わっており、極論、主観でしか判断できないので、AIが出る幕はなさそうです。しかし、向いているかどうかは、客観的な視点で見定めた方がいいし、情報が多い方が判断の精度も上がるので、AIを使うのにはぴったりなように思います。帝京大学もAI面接で11の資質レベルを測定すると記事にあるので、向き不向きを把握するのに使われるのでしょう。

日本だけでも星の数ほど企業があるわけで、その情報を理解して、的確に学生たちに伝えるのは、いくら経験豊かなキャリア支援課の職員でも無理があります。おそらく資質をはかり、適切な求人情報を紹介するという作業は、ゆくゆくはAIの役割になるんじゃないでしょうか。では、キャリア支援課の職員は、メガバンク同様、人員削減されるのかというと、そうでもないように思うのです。

というのも、キャリア支援課の職員が一番期待されている仕事は、資質の把握や情報提供よりも、学生一人ひとりのこころのケアであり、熱量のあるアドバイスのように思うからです。

ほぼすべての学生にとって、就職活動ははじめて体験です。一部のとても優秀な学生以外は、不採用通知を何通ももらうことになります。かなり昔なので記憶はおぼろげですが、わたしも不採用通知を山のようにもらい相当ヘコんだ記憶があります。月並みですが、社会に否定された気持ちになるんですね。このときに声をかけられるのは、また声が届くのは“あなたを知っていて、社会も知っている、おとなの言葉”だと思うのです。AIに「ダイジョウブ」と言われても、おそらく響かないでしょう。

就職支援には、データをもとにしたシビアな分析と、極めて人間的なケアの両方が必要です。そう思うと、キャリア支援課はAIと人間の分業がとてもやりやすい職場なように思います。就職支援の質向上だけでなく、AIと人間が助け合う新たな働き方を模索するためにも、キャリア支援課を活用するのはいいのかもしれませんね

0 件のコメント:

コメントを投稿