2019/08/10

問い合わせ自動化が、大学事務と学生とのつながりを変える!?(芝浦工業大、大阪経済大)


一ヶ月ほど前に自宅ちかくのユニクロに行くと、レジが自動化されており、その精度の高さに驚きました。買い物かごを所定の位置に置くと、バーコードをピッとか、パッとかする必要もなく瞬時に勘定されるんです。さまざまなものが自動化されると、以前より言われていましたが、ほんとにそう。しみじみ思いました。そしてこれは、別にレジ打ちだけの話じゃなく、大学にも言えることのようです。今回は、そんな大学の自動化に関わるリリースを二つ取り上げます。

以下、大学プレスリリース(一つ目二つ目)より

◎芝浦工業大学 
芝浦工大とBCG、LINEを活用した学生支援ツール「SIT-bot」を共同開発 ~学生の「利便性向上」と大学職員の「働き方改革」の実現を目指す~ 
芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人 以下、芝浦工大)と経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は共同で、芝浦工大の学生向けに学生支援ツール「SIT-bot」を開発し、2019年度より導入しました。SIT-botはLINEを活用しており、大学生活に関する問い合わせが気軽にできるチャットボット機能など6種類の機能を搭載しています。(後略
◎大阪経済大学 
在学生からの質問に24時間対応する「LINE公式アカウント・スクールプレミアチャットボットオプション」の運用開始 
大阪経済大学は、学生に馴染みの深い「LINE」を活用して、在校生からの “よくある質問”に24時間対応で自動回答する「LINE公式アカウント・スクールプレミアチャットボットオプション」(株式会社ディスコ提供システム)を、2019年5月8日(水)より運用開始しました。(後略

芝浦工業大学、大阪経済大学ともLINEのチャットボット機能を使った、学生への無人問い合わせ対応です。受験生が減っていく大学にとって経費削減は大きな課題だし、学生にとっても24時間対応は大きなメリットです。

一方で気になったのが、問い合わせ対応って、けっこう高度なスキルだと思うんですね。学生のなかには困っているが、自分がどこの何を困っているかがわかっていない人がけっこういます。たとえば、PCが苦手な人がよく言う、「何もしていないけどPCが急に動かなくなった」みたいなセリフ。こういう場合、だいたい何かしているんですが、それを究明するには、根気よく会話を繰り返さないといけません。また、問い合わせ対応は、ある種のカウンセリングでもあり、直接会話するからこそ、学生の状況や他の悩みに気付くことがあります。自動化した場合、これらができなくなってしまう恐れがあります。

さらにです。実は以前、私もこのチャットボットと同じようなものを企画して、いくつかの大学に提案したことがあります。内容としては、チャットポットによるオープンキャンパス・コンシェルジュ。オープンキャンパス参加者に、はじめて訪れた大学であってもストレスなく巡ってもらえるようにLINEのチャットボットを使ってサポートする仕組みです。

この仕組みはオーキャンでの周遊性アップやアンケート機能によるイベント内容の検証など幅広く役に立つので、個人的には秀逸だと思ったのですが、結局どの大学も取り入れてくれませんでした。理由は、大学ごとにいろいろあったものの、口をそろえて言われたのが、チャットボットを取り入れることで、学生スタッフと受験生の接点が減ってしまう、ということです。オーキャンは、プログラムへの参加も大事だけど、人と人とのつながりを感じてもらう場なわけです。

これと同じことが、在学生向けチャットボットにも言えるのかもしれません。とくに最近は、卒業生と大学とのつながりづくりに、どの大学も真剣に取り組んでいます。このつながりは、学生時代のつながりの延長線上にこそできるものです。学生からの問い合わせは、事務方と学生とのつながりをつくる貴重な機会です。チャットボットは、そのつながりを大きく減らしてしまう可能性があります。

とはいえ、自動化は世の趨勢だし、大学、学生ともにメリットが多分にあります。今後も多くの大学が、間違いなく取り入れていくでしょう。だからこそ、便利なところは活かしつつ、対人の良さをどう残すか、各大学で工夫していく必要があります。やりようによっては、本当に困っている学生への対応にもっと時間を割けられるようになり、自動化によって逆に人が前面に感じられるようになるかもしれません。

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