2014/01/30

“習いごと”に付加価値を(大手前)


前回の記事「eラーニングの常識を壊す」を書くために、大手前大学のウェブサイトを見ていたら面白い取り組みを見つけました。

取り組みの名前は「Sweets Lab」。ここではお菓子やパンづくりの技能を学べるだけでなく、スイーツの販売やスイーツづくりに使う道具などの展示、さらにイベント等が開催できる交流スペースも用意されているとのこと。しかも場所が、大阪の中心地であるグランドフロントの中だそうです。

これを読んで、なんで大学がスイーツ?と思う方も多いのではないでしょうか。というか、私がまず思いました。

それで調べてみると、大手前は日本で初めて「スイーツ学」なるものを学べる専攻をつくった大学のようです。

大手前のウェブサイトによると、スイーツ学専攻では「スイーツに関して、単なる技術の習得だけにとどまらず、技術の研究や商品開発、歴史・文化、デザインや造形、色彩やアート、経営、マーケティングまで、幅広い分野を学びます」とのこと。そして、この専攻がベースになって「Sweets Lab」がつくられたようです。

Sweets Lab」は、以前「レッツ・アカデミッククッキング」という記事で紹介した大阪大学の料理と座学を組み合わせた公開講座「アカデミッククッキング」に似たところがありますが、本質は大きく異なります。「アカデミッククッキング」はあくまで公開講座の亜種でしたが、「Sweets Lab」は大学が“習いごと”の分野に本格参入しようとした試みだからです。

実際Sweets Lab」のレッスンは、初級、中級、上級に別れ、それぞれの中に複数のコースを設置し、各コースで6回ないし12回の調理実習を行っています。その内容の充実ぶりは大手の製菓教室と比べても、まったく引けをとりません。

コンセプトがスイーツ学とは言うものの、ウェブサイトを見る限りでは学問的な切り口をあまり感じられなかったのが残念ですが、大学の試みとしての目新しさは確かに感じました。今後、学問的な色合いをより強く出していければ、他の製菓教室との違いをいっそう鮮明に打ち出せるのではないでしょうか。

社会人教育とひと言でいっても、大学がよく取り組む公開講座や通信教育といった学術系なものもそうですし、製菓教室やネイルアートといった女子力アップ系もそう。
よくよく考えると非常に幅が広いんですよね。大学がこれまでアプローチしていなかった分野にも、大学ならではの視点で取り組んでみると、思わぬビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

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