2015/05/31

“大学の顔”を学内に浸透させるには(文教大)


高校生や大学生のコミュニケーション手段として、現在、急速かつ圧倒的に増えているのがLINEアプリです。これはもちろん大学にとって無視できないことなので、LINEを使って受験生に情報発信するところがかなり増えてきています。

今回、取り上げるのはLINEを使う人ならまず間違いなく利用しているLINEスタンプについて。文教大学では、思わぬもの(?)をモチーフにしたスタンプを作成&販売しているようです

以下、大学プレスセンターより。

日本初の大学学長キャラクターLINEスタンプ登場 -- 文教大学「のじのじくん」スタンプ販売開始 
文教大学では2015525日(月)より、LINE株式会社が運営するアプリ「LINE」で利用できる、学長イメージキャラクター「のじのじくん」LINEスタンプの販売を開始した。スタンプは40個セットで50LINEコイン(120円)。LINEクリエイターズマーケットで購入できる。(後略)

そう、モチーフにしたのは“学長”です。どんなスタンプか見てみると、土下座していたり、あせっていたり、さらにはビーチで肌を焼いていたり、かなりお茶目なスタンプで、よく大学側がオッケーしたなと感心します。

でも、学外者である私の感覚からすると、これを受験生が買うのかな? と疑問に思ってしまうのも事実です。というのも、スタンプは送り手と受け手との間に共通認識があり、かつ共感ができてはじめて成り立つコミュニケーションツールだからです。

送り手となる受験生が文教大学に興味があったとしても、受け手である友達がこのスタンプのキャラクターが“文教大学の学長”だと認識していなければ、謎のおじさんスタンプでしかありません。受験生の段階で、LINEを送りあう友達グループの共通認識にまで「のじのじくん」が浸透していることは、めったにないように思います。

では、このスタンプは無意味なのでしょうか。いや、そうとは思いません。むしろ面白い試みだと感じています。おそらく、このスタンプを購入する主な層は在学生です。学生同士だと、このスタンプのモチーフが誰なのかがわかるし、学長があやまる、学長が怒る、といった表現にユーモアを感じる(共感)する人が多いように思います。

学長は大学の顔です。その学長を身近に感じられたなら、学生は大学自体を身近に感じるようになるはずです。そして、今回のように学生が普段使うものに、かなりくだけた表現で学長が登場すると、学長(そして大学)が、学生のいる位置にまで下りてきてくれている、歩みよってきてくれているというメッセージを受け取るのではないでしょうか。

また、文教大学のHPをのぞくと「のじのじくん」こと野島正也学長は、かなり学生に寄り添った学長先生のようですね。「学長直行便」という投書箱をキャンパスに設置し、その回答をHPに掲載していました。おそらく、こういった取り組みを以前からしていた学長先生だからこそ、今回のスタンプも生まれたのでしょう。

思えば私が学生だったとき、学長は入学式と卒業式ぐらいしか生で見ることがなく、とても遠い存在だったし、それが普通だと思っていました。

でも、もし、当時の私が学長を身近に感じていたら、大学をもっと好きになっていたかもしれないし、少しくらいは大学を良くするにはどうしたらいいか、なんてことを考えていたかもしれません。学長スタンプには、学生の気持ちを変えさせるちょっとしたきっかけになる可能性があるように思います。

イラストを描くのが大変ですが、LINEスタンプの販売は審査さえ通れば、誰でも無料で可能です。そして、もしつくるのであれば、受験生へのアピールは切り捨てて、自校ならではの固有名詞であったり、言い回しであったりをふんだんに取り入れた方が面白いものができそうです。学生主導の学長スタンプ制作委員会を立ち上げて取り組むのもいいかもしれません。

学長という象徴を、どういう風に学内に発信していくか。これは学内広報を展開するうえで、一つの重要なテーマになりえます。できることなら、伝わる手法が望ましいわけで、そう考えるとLINEスタンプというのはけっこうアリなんじゃないかな、と思います。

■文教大学公式キャラクター「のじのじくん」スタンプの購入はこちらhttps://store.line.me/stickershop/product/1131810/ja

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