2015/09/27

社会人進学者こそ、これからの大学と社会をつくる鍵になる


そろそろ9月が終わり、オープンキャンパスもひと段落。と思ったら、次は推薦入試の出願受付シーズンに突入です。一つ終わったと思ったら、またすぐに次が始まるわけで、入試広報に携わる職員さんは本当に大変だなぁと一緒に仕事をしていると常々思います(ほんと、おつかれさまっす)。

今年の推薦入試、それにAO入試というと、国立大学が入学定員枠を大幅に増やす方針を打ち出したことで話題になっています。その倍増率は、なんと2倍だそうです。

以下、読売新聞より。

国立大AO・推薦枠倍増、3割に…18年度目標 
国立大学全86校が加盟する「国立大学協会」(会長=里見進・東北大学長)は、AO・推薦入試などの合格者を2018年度までに、現在の2倍にあたる入学定員の30%に引き上げることを盛り込んだ改革プランをまとめた。 外国人留学生の受け入れも21年度までに倍増させる。財政面では安定的な大学運営のため、今後、授業料の値上げも検討するとした。(後略)

今回の入試制度の改革は2018年度を境に訪れる、18歳人口の減少を見据えてのプランとなります。意図としてはこれまでの筆記主体の試験ではすくいとることのできなかった、多様かつ優秀な人材を確保するため。また同じ記事に、外国人留学生の受け入れを増やすとも書かれており、これもまた同様の意図があってのことのように思います。

しかし、これら国立大が求める人材は、高校3年生(と浪人生)や留学生以外にも該当する人がたくさんいるのではないでしょうか。つまり何が言いたいのかというと、せっかく改革するなら、社会人進学者の受け入れももっと増やすべきだと私は思うのです。

というのも、海外からわざわざ日本に学ぶにくる留学生と同様に、社会に出てからわざわざ学びにくる社会人は目的意識や向学心が強く、さらに価値観や考え方も18歳とは異なります。こういった人材を大学に呼び込むことは、今回の改革の意図とマッチしているように感じるからです。

しかし、2014年度の段階で社会人進学を実施している国立大は全体の約55%。しかも調べた限りでは、どの大学も募集人数は若干名なうえ、広報もあまり積極的ではありませんでした。

以前、私は『定年進学のすすめ』という定年退職された方に社会人進学の魅力を紹介する書籍をつくったことがあります。そのとき取材した社会人進学者たちの多くが、高額な学費が進学するうえで一番のボトルネックになったと言っていました。

当然ながら学費は、私立大よりも国立大の方がだんぜん安い。それに運営費の大部分を学費に依存している私立大は、多くの進学者が(今のところ)見込めない社会人に対して多額の予算を投下したプロモーションをかけることは現実的にほぼ不可能です。

だからまずは国立大、というか国が、社会人進学を社会に根づかせるために動くのが一番いいように思うのです。そして、社会人進学者が増えることは、2018年問題の一つの打開策になるだけでなく、再チャレンジができる社会や人材が流動する社会、イノベーションが起こりやすい社会をつくるうえでも大きな鍵となります。

今、国立大学、そして大学業界全体が大きく変わろうとしています。そんな今だからこそ、社会人進学は真剣に考えるべきテーマであり、考えるまたとないチャンスなのではないか。私はけっこう本気でそう思うのですが、みなさんはいかがでしょうか?

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