2018/04/20

大学の個性をつくる、腰を据えた大学発商品づくり(近畿大)


大学による商品開発は、年々増えてきているように感じます。これら商品開発で、とくに力を入れている大学というと、近大マグロで一躍ブランド価値を高めた近畿大学ではないでしょうか。

近大では、マグロ以外にもさまざまな商品を生み出しているのですが、なかでもUHA味覚糖とのコラボがユニークです。こういう腰を据えた商品開発は、大学にとっても、企業にとっても、きっと大きなメリットになると思います。

以下、大学プレスセンターより。

近畿大学×UHA味覚糖 産学連携商品 「マグロのめだまグミ」「近大発めし」一般発売開始 
近畿大学(大阪府東大阪市)とUHA味覚糖株式会社(大阪市中央区)は、平成30年(2018年)4月16日(月)、学生が商品開発に参加した共同開発商品「マグロのめだまグミ」「近大発めし」を一般発売します。(後略)

今回のプレスリリースは、近大とUHA味覚糖とのコラボ商品の一般販売についてです。これら商品は二つとも、近大のキャンパス内にある、味覚糖と共同運営する産学連携ラボ「KISS LABO(キスラボ)」から生まれた商品になります。

ちなみにこのキスラボですが、ここでは月に1回程度、定期的に味覚糖の社員と学生たちが会議を行い、商品開発に取り組んでいます。キャンパスのなかに、特定の企業の産学連携ラボがあり、常に商品開発に取り組んでいるというのは、かなりめずらしいケースです。

このキスラボから生まれたというところで、すでに話題性のある商品なのですが、実は他にも面白いところがあります。ヒントは、プレスリリースのタイトルにある“一般発売”というフレーズ。そう、実は“一般”で売られる前段階として、別の販売があったわけです。

この別の販売というのが、近大のキャンパス内での試験的な先行販売です。つまり「学内限定販売」です。これは学外の人に大学に足を運んでもらうきっかけになるうえ、学生たちの購買欲を刺激することができます。そして、大学で試験販売すると、ターゲットをほぼ学生に絞り込んでマーケティング調査することが可能です。

極論(暴論?)ですが、今回、開発した商品はお菓子であり、学生がおそらくメインターゲットです。で、学生は当然、学生の心理を一番わかっているわけで、そんな彼ら彼女らが商品を開発し、大学でマーケティング調査する、というのは、だいぶエッジが立っているものの理にかなったやり方だと思うのです。

近大×味覚糖の手法は、信頼関係をきずき、腰を据えて取り組まないとできないやり方なように思います。でも、お菓子やファッション、文房具、ゲームなどなど、他の商品でも十分に転用ができるやり方です。

プロジェクト単位での商品開発はどうしても一過性なものとして終わりがちです。大学発商品は、企業にも、大学にも、メリットは十分にあるわけです。もっと長い視野に立って、大学と企業とがタッグを組んで商品をつくる。そうすることで、この大学はお菓子に強いとか、この大学はいい文房具をつくるとか、大学ごとの商品開発に強み・個性が出てきたら面白いなぁと思います。

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